omadog-blog

自分が体験したこと、自分の頭で考えたことを書きます

【読書録】越中の武将たち 下[戦国編]

越中の武将たちの下巻を読んだ。上巻に続いて室町時代の応仁の乱あたりから

戦国時代の終わりまでの期間、故郷富山にゆかりのある武将たちの足跡を辿る内容。

上巻の感想でも書いたが、中央の政治情勢が混乱するのと呼応して地方の武将達が

実際の戦闘を担って歴史の表舞台に表れてくる。

 

越中では管領職に就く名門畠山氏が守護に任命され、身内同士で管領就任を争って

対立することで越中の武将達もどちらについて生き残るべきかと、国人や守護代

土地に居着いた武士たちは相変わらず翻弄されている。

ちなみに、このまえ訪れた「おおかみこどもの花の家」のある中新川郡

鎌倉時代に土着化した土肥氏の勢力下にあった地域だ。

 

細川氏・山名氏の政争が京都の市街地を奪い合う戦闘へと発展した応仁の乱

相国寺蓮沼合戦では神保長誠(じんぼながのぶ)の活躍が目覚ましい。

彼は囚われの身になった将軍足利義稙を越中は放生津(ほうしょうづ)の地に

逃がしてやる事にも加担し、そのあと将軍は5年間越中に滞在した。

有力者同士の対立が激しくなる中で地方の武士が実力を発揮し、古くからの権威は

ますます形骸化して下克上の機運が高まっていく・・・越中では守護代同士の抗争に

勝興寺や瑞泉寺を拠点にする一向宗勢力の台頭が激しく膠着状態が続いた。

 

惣村みたいな農村の自治組織も発達し、宗教勢力と結びつくことでそれまでの武士

による統治すら覆そう、自分達で団結して生活を営んでいく「一揆」の高まりは

新しい時代の息吹が越中だけでなく全国で広まっていったことを意味しており、

そういう中世のダイナミズムって個人的にはすごく興味深い。

 

武士や寺社勢力が入り交じって抗争が繰り広げられたこの土地はある意味、

新しい時代の幕開けの可能性を感じるが、織田信長のもとで近代的な統治機構を

身につけ、グローバル化の中で日本も世界国家へと進出させるビジョンを持った

豊臣秀吉のスケールにはさすがに適わなかったのだろう。

 

 

上下巻あわせて読んでみたが、取材・執筆をされた河田稔さんは実に丁寧で地道な

仕事をされてきた人物だと舌を巻く思いだった。

売るために書かれた本は一行一行の情報が薄いが、この本は著者の丁寧な仕事が

伝わってくる良い本だと思う。