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自分が体験したこと、自分の頭で考えたことを書きます

整形をくりかえす美女に惹かれてしまいました。あ、小説の中で。[百田尚樹 モンスター]

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拝啓 天国のおじいさん

だれにも言えない本のレビューを聞いてください。

 

整形美女に惹かれた話。あ、小説の中でね。

 

その女性はもともと奇形的なほどに不細工な顔をしていて、地元では

ブルドック、モンスターなどと呼ばれていました。彼女も初恋を経験しますが、

外見上の理由で振り向いてもらえないので、相手の男にメチルアルコール

コーラで割ったものを飲ませて相手を失明させようとするが失敗。

街を追い出されてしまいました。

 

 

彼女は、醜いためにこれ以上人生で損を被り続けるのを止めるべく美容整形に

手を出すようになりました。手術代を払うために風俗産業で働くようになり、

整形外科医のアドバイスを仰ぎながらみるみる彼女は美しく変身していきました。

その執念たるや、凄まじいの一言です。

 

整形の喜びと楽しさをどうたとえたらいいだろう。

あえて言えば「磨く」感じだ。一生懸命に作った作品を、

丁寧に磨いていく感じがした。そう、私の顔は「私の作品」だ。

ここまで一千万円近くかけて作った作品だ。よりいい作品に

仕上げるためには金も時間も惜しむつもりはない。

 

ここまで言い切る彼女に私は清々しさを覚えました。

自分磨きのためとは言え、歯を全部ぬいてインプラントにしたり、上顎を削る

手術まで受ける胆力に惚れ惚れし、最後まで見守りたい気持ちになったのです。

 

私は美容整形を否定できない

正直に言うと、外見上の理由で実生活で不便を被ることはあると思います。

 

私自身、歯列矯正を経験したことがあります。厳密には美容整形ではないが顔の一部を

いじる意味では本質的な違いはないです。私の場合、おとなの犬歯が糸切り歯のほうに

向かって伸びてきており、ほおっておくとお互いがぶつかって痛みに苦しむ状態に

なることが予想されました。痛みに悩み、歯並びにコンプレックスを抱いていたら

人前で何気なく歯を見せることができず、不便を被ることになっていたと思います。

 

抜歯手術も経ながら6年ほどかけて矯正を終えたので、たまに歯医者で歯並びを

誉められたりすると、かなり得意な気分になります。

 

だから彼女が「私は美しい!」と思いながら方で風切って歩くとき、

嗚呼、自分の歯の時と同じような気持ちなんだろうかと想像して、

個人的には共感を覚えてしまいます。

 

美しさを求め外見を変えることは悪なのか

元が不細工なだけに、美しさを純粋に追い求め続けるストイックさを彼女は

持っています。そして彼女には同志とも言える整形外科の医師がいます。

彼は、こんなことを言うのですが、誠意のこもった言葉だと感じました。

「苦労と努力の果てに勝ち取った美しさは、生まれつきの美人より価値がある」

 

以前にお会いしたことのある美容外科医の方も、真摯な態度の持ち主であり、

また美を提供する立場として研鑽を欠かさず、患者としっかりした信頼関係を

築いておられました。

 

美容整形をしていて、こんなことを言うのは何だが、私は美しさなど所詮

皮一枚のことだと思っています。そんなことで女性が幸せになったり

不幸になったりするのは馬鹿馬鹿しい。

私はこの世の中の女性を全部美しくしたい。

そうすれば、もう美人などという価値もなくなる。

私は、生まれついて美しい女性よりも、あなたの美しさの方がずっと

素晴らしいと思う。美しく生まれてきた女性が一体どんな努力をした

というのですか。彼女たちはただ美しく生まれただけです。

金持ちの家に生まれた子供のように、また貴族の家に生まれた子供の

ように、たゆまぬ努力によって手に入れたものではありません。

彼女たちは何の苦労も努力もなく、生まれながらに持っているもの

だけで、ただただ幸運な人生を送っています。しかしあなたは違う。

自分の力で美しさを勝ち取った。同じ皮一枚でもあなたの方が

ずっと素晴らしいというのはそういうことです。

 

親にもらった体にメスを入れるとはけしからん!という見方もありますが、

自分自身の問題となった時に、果たしてこの規範を盲目的に信じきれるでしょうか。

不利益を免れる解決手段があるのに、それを選択させないのはマトモでしょうか。

刻苦勉励して習得した教養や能力と同じように、私も彼女の美しさを認めたいです。

 

整形手術を繰り返して悲惨な結末になるという物語はインパクトがあるので、

整形によって破滅に歩む女性と、それを助長する医師という否定的な印象が

強いのは否めません。しかしそうした事例は整形手術そのものよりは、

それに依存してしまう心理状態が原因でしょう。

 

一方、彼女は自分の美しさを客観的に理解し、男の反応を楽しんで人生を

謳歌しました。話し方講座を受けるなど外見以外の自己投資も怠りませんでした。

もし手術をしなければ、モンスターのまま暗闇の中で人生をひっそり終えたでしょう。

 

それを一変させるだけの価値が美容整形にはあるのではないか。

そういう見方をしても良いんじゃないか。

小説を読み終えて、そんなふうに思い至ったのです。

 

ちなみにその小説は百田尚樹の「モンスター」といいます。

 

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